12 月
25
2007
「お父さん。やっと着きましたよ」
「こんなにも遠かったんだな…」
「もう歳ですね。坂道が苦しくて…。しばらく休んでから帰りましょう。それにしても、ここは、いつ来てもあの時のままですね」
「そうだな。あのときのままだな…」
老夫婦は、昔のことを懐かしむように、なんじゃもんじゃの木を見つめている。
なんじゃもんじゃの木。正しくは、ヒトツバタゴという。なぜ《なんじゃもんじゃ》というのか、はっきりとしたことはわからない。ただ、ずっと、ずっと遠い昔から、街外れの小高い丘の公園にある。春になれば、一〇メール以上もある大木に、季節外れの雪が降り積もったかのような真っ白い花を咲かせ、街の人たちを楽しませてくれている。
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12 月
13
2004
「誰だろう?」
着信音が鳴った。私は、すぐに右のポケットから携帯電話を取り出し、確認ボタンを押す。メールだ。だけど、差出人が解らない。
「薫? 誰れから?」
友だちの彩香が、私の携帯電話の画面をのぞき込んだ。
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10 月
26
2002
「ここ、空いとろうか?」
通学中の電車の中。
どこか懐かしい、聞き覚えのある声に、高校生の歩美は、読んでいた本から声の方向へ視線を移した。
「はい。あっ!!」
一瞬、歩美の息が止まり、床に本を落としてしまった。
歩美が驚くのも無理はなかった。
歩美に声をかけたのは、ちょうど一年前に亡くなった歩美のおばあさんだった。
小柄な、腰をかがめた白髪のおばあさんが、どこまでも優しい笑顔で、そこに立っていた。
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10 月
08
2001
「はじめまして、こんにちは」
その人は、本当に優しい笑顔とともに、こちらの緊張を解きほぐすように話しかけてきた。
その笑顔は、慈愛に満ちたマリア像、そのものだった。
初めて会ったその人の実像。
そう。。。
その人は、更なる人として成長できるよう、次の新しいステージへと導いてくれる、真夏の幻影だったかもしれない。
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11 月
29
2000
リンクする
あなたと貴方
わたしと私
ひとと人
リンクをする
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8 月
19
2000
「ねえ、ねえ。最近、智子。また、インターネットを始めたって、ホント? そんでもって、かっこいいメル友もいるんだって? いったい、いつからなのよ。ねぇ…」
昼休み、ランチを食べながら友人たちは、その話題で勝手に盛り上がっている。
それとは別に、私は、ひとり黙々とサンドイッチをほうばっていた。
「『元気ですか?』、かぁ…」
私は、オレンジジュースを飲みながら、三日前に届いたメールを思い出していた。
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1 月
30
2000
何気なくスイッチを入れると、テレビから熱狂する人々の大喚声が伝わってきた
1996年、アトランタオリンピック開幕
サッカー予選試合、日本対ブラジル戦
「彼は、元気でやっているんだろうか?」
白熱する試合の行方より、私は遠い彼のことを想っていた
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1 月
30
2000
「あっ、駅ね。OK、OK」
顔一杯の汗を掻きながら
私は、行き先を初老のドライバーに伝えていた
ほんの数分前
もう、すっかり忘れてしまっていた
初老のドライバーの優しい笑顔
流れゆく窓の景色
タクシーの車内には、ゆったりとした時間が過ぎている
久しく感じたことのない時間の流れ方だった
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