シリーズ介護:新要介護認定基準、10月から適用開始 「修正」認定基準の注意点
今年4月に改定されたばかりの介護保険の要介護認定基準が10月1日から再び変わる。「軽度判定され、必要な介護サービスが受けられなくなる恐れがある」との批判を受けて、厚生労働相の下に設けられた「検証・検討会」(座長・田中滋・慶応大教授)が訪問調査員のテキストを大幅に見直すことを決めたためだ。見直しの経緯と、変更点、要介護認定を受ける際の注意点などをまとめた。
◇調査は家族かヘルパー同席で チェック基準確かめて■経緯
厚労省は4月からの新認定基準の影響を調べるため、各自治体で4、5月に訪問調査した約28万人分のデータを分析。中・重度者の割合は過去と比べて大きく変わらないものの、介護保険サービスが受けられない「非該当(自立)」となる申請者の割合は、前年同期の0・9%から2・4%へと大幅に増えていることが分かった。施設より在宅で、軽度者の割合が多く出ていることも明らかになった。
4月の要介護認定の改定の柱は二つあった。一つは1次判定の訪問調査項目を82から74に削減し、コンピューターソフトを更新したこと。もう一つは06年に作られた訪問調査員のテキストの改訂だった。
焦点は検証・検討会がどこまで見直すかだったが、最終的に調査員テキストを再度見直すことにし、コンピューターソフトの修正は見送られた。テキストの修正は74項目の約6割にあたる43項目に及ぶ。再修正について、検証・検討会のメンバーで「認知症の人と家族の会」の高見国生・代表理事は「いったん始めたものを見直したのは評価する」としながらも「10月以降、もう一度検証する必要がある」と指摘。東京都内の自治体の担当者は「コンピューターソフトまで見直さないと在宅と施設の格差が拡大する可能性もある」と話している。
■変更点
09年の調査員テキストについては当初から「常識外れ」(高見氏)との批判があった。しかし今年3月末の修正は一部にとどまった。
06年と09年の大きな違いは、06年のテキストが「日常生活への支障を勘案して判断する」方式だったのに対し、09年は調査員の主観や推測が入りこまないよう「目に見える」「確認しうる」など機械的に判断する方式に改めた点だ。しかし、この変更で自治体間のばらつきが拡大した項目もあり、「理解しにくい」という意見も多く寄せられた。
このため、まひの有無や寝返り、歩行など対象者に実際に行ってもらう項目について、09年の当初テキストでは「実際に行ってもらった状況」(目に見える)で選択するとしていたのを、改訂版では対象者や家族から聞き取りした状況と実際に行ってもらった状況が異なる場合は「より頻繁にみられる状況」を選択するように改めた。対象者の実態に近い方を選択できるようにし、判断に幅を持たせたといえる。
また、当初テキストでは、頭髪がない場合は「(整髪について)介助されていない」とされてきたが、寝たきりなどで毎日、頭をタオルでふくなどの介助がある場合「類似の行為で代替して評価」し、「全介助」とする。このほか、座った姿勢を保てるかを判定する「座位保持」の時間は当初テキストで1分だったのを、06年テキストと同じ10分に戻す。「食事摂取」についても、ほぐしたり小骨をとった場合、介助に含むことにした。ベテランのケアマネジャーは「今回の見直しでおおむね3月までの判断基準に戻った」と話す。
■ポイント
訪問調査を受ける際は利用者や家族にも、それなりの準備が必要だ。独居や高齢者のみの世帯では、自らの状況を客観的に伝えられないこともある。別居している家族が調査に同席したり、あるいは家族がいない場合はヘルパーや民生委員などが同席することが望ましい。
介護に関する電話相談などを行っている市民福祉情報・オフィスハスカップの小竹雅子さんは「利用者や家族が、まずはどんな調査項目かを知っておくことと、調査を受ける際は、どういう場合に『できる』とされるのかなど、チェック基準を確かめた方がいい」と話す。
また、2次判定では、主治医意見書が大きな役割を果たす。認定調査に詳しいケアマネジャーの水下明美さんは「日常生活をよく知っている医師に意見書を書いてもらうことが大事。そういう医師を日ごろから作っておく努力も必要だ」と話している。
それでも認定結果に納得がいかない場合は、都道府県への行政不服申し立て申請や、市区町村への区分変更申請ができる。しかし、それにはきちんとした根拠も必要だ。小竹さんは「訪問調査員のチェック記録や、認定審査会の議事録、主治医意見書などの情報開示を求め、確認したうえで行ったほうがいい」とアドバイスする。
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◇要介護認定介護保険サービスを受けるための最初の手続き。まず、訪問調査の結果をコンピューターで1次判定する。主治医の意見書と調査員の書いた特記事項をもとに、専門家で構成される介護認定審査会が2次判定し、最終的に要介護度を決める。今年4月から半年間は更新申請に限り本人の希望に応じて以前と同じ要介護度にする経過措置が設けられたが、9月末で期限が切れる。【出典:毎日新聞】
10月以降、どうのように変更されるか。注視したい
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