問い直す夏:’09衆院選/3 高齢者医療 在宅介護、態勢整備を /滋賀
◇「小泉改革」長期入院困難に
「よし、歩いてみましょうか」。7月24日の昼下がり、東近江市湯屋町の民家。ストレッチをしてもらっていた西澤千代蔵さん(90)は病院から訪問した作業療法士に支えられて立ち上がった。「よっほっ」。両手を振って一歩一歩、前に出る。「まだまだ不自由だけど、随分慣れてきたよ」
今年2月、雪の積もった朝。自宅前を歩いていて突然、腰が抜けた。前のめりに倒れ、近所の湖東記念病院に運ばれた。脳梗塞(こうそく)で、右半身に後遺症が残った。妻が他界して14年。一人暮らしだが、思い出の詰まった家だ。早く家に戻りたいと願った。
約1カ月後、リハビリを進めるため近くの近江温泉病院に転院した。「頑張ろうね」。医師などスタッフに励まされ、車椅子から歩行器へ、そして1カ月半後には、つえで歩けるまでに回復した。6月の退院前には、病院スタッフと一緒に自宅に戻り、風呂やトイレ、炊事の方法を訓練。現在は週2回、病院スタッフが訪問して介護してくれる。
入院から在宅へ。西澤さんをサポートする態勢は、東近江市の病院や介護施設が07年から始めた「地域医療連携パス」という仕組みに支えられている。
東近江市の山間部など7地区では現在、65歳以上のお年寄りが人口の約半分を占める。介護のニーズは高く、西澤さんが転院した近江温泉病院では、介護保険制度が始まった00年以降、346床の入院ベッドの約半分を介護療養型にし、在宅介護が難しい家族にも対応してきた。しかし、小泉内閣以降の医療制度改革で、医療費削減のため、介護型病床での長期入院に対する診療報酬が大幅減額されることになり、同病床の継続が不可能になった。
一方、新人医師が研修先を自由に選べる新臨床研修医制度が地方の慢性的な医師不足に追い打ちをかけ、非都市部で救急病院や救急病床が激減した。急患を受け入れてきた湖東記念病院の西山郁子看護師長は「依頼があっても、ベッドが埋まっていて対応できないこともあった」と話す。
そこで、県保健所を中心に呼び掛けたのが連携パスだ。病院や施設が急性期や回復期、療養、在宅介護などの段階に応じて対応を分担し、多くの患者に対処する。例えば、湖東記念病院がまず急性期の患者を受け入れ、症状が落ち着き回復期に入ったら近江温泉病院に引き継ぐ。さらに、退院後は、病院や施設が訪問や通所で看護、介護、リハビリを受け持つ。
これにより、湖東記念病院の病床は回転が速くなり、より多くの急患を受け入れることができる。また、近江温泉病院の介護療養型病床は回復期の患者を一時的に預かるリハビリ病床となり、医療制度改革後も病床を存続させることができる。全国でも先駆けのこの試みには厚生労働省も注目している。
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「自分の世話は自分でしなきゃ」。西澤さんの口癖だ。しかし、こうした希望をより多くかなえるためには、連携パスを生かしても、まだ課題が多い。退院後の介護や看護の人材が足りないのだ。また、ヘルパー利用の負担がかさみ、在宅が入院より高額になるケースもある。
県内の65歳以上の人口は05年で約25万人。25年には約1・5倍の38万人近くになる見通しだ。在宅支援の充実を図る政策が求められている。
【出典:毎日新聞】
改革の総括もしていないのに、また未来を語ろうとする政治。不信感だけが募る
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