保育制度改革案:障害児保育、担えるの 保護者が事業者と直接契約、改革案に不安の声
保護者と保育所の直接契約などを盛り込んだ保育制度改革案(1次報告)に対し、「障害児の選別につながりかねない」と不安の声が上がっている。規制を緩和し、多様な事業者の参入を促すのが改革案の目的だが、保育所に入れない待機児童の解消策や財源の裏付けがはっきりしていないためだ。
千葉県船橋市のゆうこさん(38)=仮名=は近く、十数年勤めた会社を退職する。ダウン症の長女(2)が認可保育所に入るまではと育児休業を延ばしてきた。同市の発達支援保育(障害児保育)は3歳からのため、通常枠で申請してみたが受け入れてもらえなかった。休業期限が迫り無認可園に入れることも考えてはみたが職員配置など基準のない施設に娘を託すのには抵抗があった。市の窓口では「療育が必要な子はなるべく家庭で」と言われた。「それは皆考えている。それでも職場や家庭の事情で働く必要があるから申請したのに」と割り切れない思いだ。
同じダウン症の長女(2)を育てる亮子さん(40)=同=の場合は通常枠で入所を認められたが、時間外・延長保育は原則利用できない。始業に間に合わないので朝は保育所に頼み込んで時間外の利用を認めてもらった。夕方は実家の両親に迎えを頼んでいる。「園長が代わったときは時間外利用を断られないかドキドキした。市役所を介さない直接契約になったら、園長の裁量次第で行き場が無くなるのでは……」。不安は尽きない。
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厚生労働省によると、認可保育所2万2848カ所のうち障害児保育を行っているのは3分の1以下の7120カ所(07年度公私立)だ。定員約210万5000人のうち、障害者手帳の交付を受けていない軽度を含めても約3万4000人に過ぎない。入所する障害児の集団保育が可能か、介助の保育士を増員するかは市区町村で決めている。
船橋市では、軽度発達障害などが疑われる「気になる子」も含め27カ所の公立認可園で障害児保育を担っている。現在障害児が在籍しているのは22カ所。市保育課は「保育所を希望しても入れない待機児が多く、現行の児童福祉法が保育の対象としている『保育に欠ける』度合いが低いという理由で入所できない障害児もいる」と話す。
対象年齢が「3歳以上」になっているのは、障害の種別や程度を県が認定し障害者手帳を発行する時期に合わせたためだ。保育士は、重度の子1人につき1人、それ以外は子ども3人につき1人増やすことになっている。
私立認可園には市が補助金月額12万円(重度)を支出しているが、専門性を備えた職員の配置に十分な額とは言えない。障害児保育を行っているのは私立31園のうち2園にとどまる。
全国で保育所を運営するJPホールディングス(名古屋市)は、31認可園の半数以上で障害児や「気になる子」を受け入れている。運営を委託する条件の一つに障害児保育の実施を挙げる自治体もあるが、運営費の加算は十分とは言えず、採算悪化の一因になっている。
山口洋社長は「制度改正で多様な事業者の参入が増えれば、企業努力で障害児保育に取り組む園も増える」と話し、制度改革のメリットを強調する。
◇行政の関与、守るべきだ??保育園を考える親の会の普光院亜紀さんの話会が07年7月、首都圏の主要市区と全国の政令指定都市の計95自治体に聞いた調査では、障害児保育の実施率は100%から3割まで大きな開きがあった。受け入れることになっていても実際に在籍しているかどうか、どの程度まで受け入れているかは分からない。自治体に保育の実施責任を明確に定めた今の制度でもこの状態だ。改革案には会員からも「障害児や困窮家庭が事業者から選別されないか」「自治体の責任があいまいになる」との声が上がっている。保育所が増えても保育の質が下がったり、弱者が切り捨てられては困る。財源を確保し行政が関与する仕組みを守るべきだ。
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■社会保障審議会・少子化対策特別部会1次報告の主な内容
<現行制度の問題点>
現在の認可保育所は、市町村が児童福祉法に基づき「保育に欠ける」などの条件で入所判定し保育所に割り振るが、夜間就労でやむなく無認可保育所を利用する家庭などから、多様化した親の働き方に対応できていないとの指摘がある。また、財政難の自治体は認可保育所が増やせない。
<提言>
最低基準を満たせば事業者が保育に参入でき、専業主婦家庭に対しても一定量の一時預かりを保障する仕組みを作る。市町村を経由せず、親が直接に保育所に申し込む方式を取り入れる。直接契約への移行で、低所得や障害を理由に事業者が不適切な選別を行わないような仕組みについてさらに検討する。【出典:毎日新聞】
小さな政府は必要なことだろう。ただ、国として、行政として、しっかりと責任を持つ部分があるはずだ。単に規制緩和すれば、何もかもうまくいくようなことは幻想に過ぎない
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