えひめリポート:精神障害者通所施設「きらりの森」 レベルに応じ自立支援 /愛媛
◇利用者の変化が社会へのアプローチに
精神障害者の社会での自立につなげようと、通所施設「きらりの森」(松山市畑寺4)で日常生活や就労の訓練をしている。施設と同名の社会福祉法人が07年12月に開設、精神保健福祉士ら約10人のスタッフが接している。支援策は、06年10月に本格施行された障害者自立支援法に基づく3事業。病院から退院できるのに社会に受け入れ先がないために退院できない「社会的入院」の問題が指摘される中、支援の取り組みを取材した。
施設は約1年半前に完成した鉄骨2階建て。窓が多く明るい。2階の一室で、統合失調症を患う30〜50歳代の男女6人が職員2人と一緒に、自分の小遣いを何に使っているかをテーマに、自分の思いを他人に伝える訓練をしていた。うち1人の女性(30代)は取材に、「髪を自分で洗えるようになった。家族以外で相談できる人もできた」とゆっくりとした口調で話した。
長期の入院などで失った生活に必要な動作を取り戻す「生活訓練事業」の一環だ。浴室などが併設され、平日の午前9時半〜午後3時、話し方から風呂の入り方などまで訓練する。平田富美香施設長は「長い入院生活で病院の中でしか生きられなくなっている場合も多い」と現状を説明する。
きらりの森ではレベルに応じて他に、就労が難しい人に施設内の清掃など働く場を提供する「就労継続支援事業(B型)」、社会での就労を目指して必要な体力や技術を習得する「就労移行支援事業」を設けている。約50人が3事業のいずれかに登録し、同法人が市内の数カ所を巡回させているバスで通っている。
施設1階には通所者が調理と配ぜんを担当する喫茶店もある。病院を退院後、通所約1年という女性(30代)は「ここに来る前は家事が全くできなくなっていた。自分でも元気になったと思う」と皿を洗いながら笑顔を見せた。
厚生労働省によると、日本の精神科の平均入院日数は320・3日(06年)。フランス6・6日(04年)▽イタリア14・7日(同)など、他の先進国の多くは40日以下で、日本は飛び抜けて長い。同省の調査(05年)では、受け入れ先があれば退院できる患者も全国で約7万3000人いるとされる。国の調査により県内では07年には896人が退院可能とみられており、県は11年度までに685人の地域への移行を目標としている。
きらりの森も訓練を終えた人の就労先の確保など課題もあるが、平田施設長は「利用者が変わっていく姿が社会へのいいアプローチになる」と意気込む。入院していた精神障害者が地域での生活を目指す動きが本格化しつつある今、より多様な支援が必要だ。【出典:毎日新聞】
地域に溶け込み、生活して行くには、もっと柔軟で、十分な支援が必要である
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