福祉ナビ:障害者が裁判員に選ばれたら?
◆障害者が裁判員に選ばれたら?
◇情報保障へサポートを
◇聴覚…手話通訳者、要約筆記者を手配/視覚…書類点字化、裁判官が補足説明5月に始まる裁判員制度では障害者も裁判員に選ばれる。障害者が参加した模擬裁判が開かれているが、健常者の裁判員との「情報格差」を心配する声もある。どんなサポートと課題があるのか。
税理士の遠藤良明さん(75)=神奈川県大和市=は25歳で発症したメニエール病が原因で、聴力がほぼ失われた中途失聴者だ。手話は少し分かる程度で、日常生活や仕事では、主に会話の内容をメモやパソコンでまとめる要約筆記と筆談でやりとりしている。「健常者の裁判員と対等に務めるには、裁判内容をすぐ理解できるサポートの確保が前提。障害者の参加を認めたからには万全の支援体制を整えてほしいですね」最高裁によると、聴覚障害者が裁判員になった場合、地裁が費用を負担し、要約筆記者や手話通訳者を手配する。裁判員と裁判官が議論する「評議」や証人尋問の内容などを手話や要約筆記で示すというが、遠藤さんは「裁判用語の理解や要約の技量が一定水準に達した人にしてほしい」と求める。
全国約28万人といわれる聴覚障害者。厚生労働省の06年調査では、コミュニケーション手段(複数回答)として手話を使っている人は18・9%で、要約筆記や筆談(30・2%)のほうが多い。先天的な聴覚障害者は手話を使う人が多いが、難聴者や中途失聴者は手話以外の方法を取る人が多い。全日本難聴者・中途失聴者団体連合会の川井節夫副理事長は「聞こえのレベルは人さまざま。本人が望むコミュニケーション手段を確保してほしい」と話す。
実際、模擬裁判に参加した人はどう感じたのか。横浜地裁で昨年11月に模擬裁判員を務めた海老塚一浩・神奈川県聴覚障害者連盟理事は「裁判長や弁護士の判決や資料の読み上げが速く、手話通訳が追いつかなかったり、廷内モニターと手話通訳を同時に見るのが難しかった」という。「人が人を裁くのは難しい。だからこそ十分な情報保障をしてほしい」と強調する。
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視覚障害者の場合は、裁判員候補の選任通知を受け取った際に障害があると地裁に知らせれば、その後は書類に点字翻訳や、活字の読み上げ装置用の音声コードがつく。法廷での審理は「なるべく裁判官が口頭で補足説明する」(最高裁)という。
日本盲人会連合は昨年6月、最高裁にすべての証拠資料の点字翻訳を要望した。鈴木孝幸情報部長は「点訳や音声訳された書面は事前に準備してほしい。また、目からの情報は分かりやすく説明するのが難しい。必要不可欠な情報は専門訓練を受けたガイドヘルパーなどに説明してもらいたい」と話す。
知的障害者も選ばれる可能性がある。知的障害に詳しい辻川圭乃(たまの)弁護士は「証人や被告人の話の内容を分かりやすく伝え、難しい言葉の意味を十分に理解させられる専門の補助者が必要」と指摘。また▽文書はルビ付き、平易な文章で▽長く集中できないため、休憩時間をこまめにとる??なども必要という。
辻川弁護士は「情報を保障する準備に時間や費用がかかったり、裁判の進行が遅れるなどの理由で、障害者の選任を取りやめるようなことがあってはならない。できるだけ多くの障害者が参加できるよう、積極的な配慮を」と、司法の取り組みに期待している。
◇職務に著しい支障あれば対象外
裁判員制度では、障害者も原則、裁判員の対象だ。ただ、裁判員法は「心身の故障で職務遂行に著しい支障がある人」は裁判員になれないと定めている。写真や映像、録音テープでの立証が不可欠な公判では、視聴覚障害者などは選ばれない可能性もあるが、最高裁は「できるだけ参加してもらえるよう、可能な限り配慮したい」としている。【出典:毎日新聞】
これを契機にして、もっと障害者の社会参加が広がってほしいと思う
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