底流を探る:「紅梅会」知的障害女性への性的暴行 今月末に初公判 /神奈川
◇女性側「被害、長く潜在化」
厚木市の社会福祉法人「紅梅会」の運営するグループホームの元当直員、加茂昭雄被告(68)が、入所者の20代女性の知的障害につけ込み性的暴行を加えたとして、準強姦(ごうかん)罪で起訴された事件は月末に初公判を迎える。女性側の主張によると、被害は長く潜在化していたとみられる。3月には与党プロジェクトチームが、虐待発見者に通報義務を課す「障害者虐待防止法」素案をまとめたばかりだ。事件の底流を探り、声を上げづらい障害者への虐待・被害を防ぐ手だてを考える。
◇不十分な当直員らへの監督、不可欠な第三者の目
加茂被告は01年から当直員として働き、被害女性は04年ごろホームに入所した。起訴内容は08年の被害だが、2人の供述などから性的暴行は1年半以上前から、ホーム内や施設外のホテルなどで続いていたとみられる。
同会は厚木市内などでグループホーム・ケアホームを8カ所運営し、昼間は世話人、夜間は当直員が各1人で入所者の面倒をみる体制。彼らを管理監督する責任者も施設ごとにいることになっていた。
法人を監査する県障害福祉課の木村博嗣課長は「利用者への不適切な行いなど(施設内の)状況を把握する役割を責任者が果たしていなかった」と指摘。入所者を守るべき当直員らへの監督不十分を事件の要因に挙げた。
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「被害をどの程度認識しているかという問題もあり、表に出る数字はほとんどない」。県警幹部が、今回のような知的障害差の被害が表面化しづらく立件も難しい理由を語る。
96年、水戸市の段ボール加工会社社長が従業員に対する傷害罪などで有罪が確定した事件では、女性従業員6人が性的虐待も訴えたが「被害日時が特定できない」などとして不起訴に。99年にも茨城県内の病院の男性看護師が通院女性に性的暴行を加えたとして児童福祉法違反容疑などで逮捕されたが「証拠関係に弱い部分がある」と処分保留で釈放された。
ただ両事件とも、加害者側に賠償を求めた民事訴訟では被害者側が勝訴した。水戸事件の訴訟で、被害者側弁護団長だった西村正治弁護士は捜査機関の聞き取り技術の問題を指摘する。知的障害者は矛盾したことを言い出すこともあり「証言が立件に耐えられる証拠に至らない難しさがある」と話す。こうした特性を踏まえた聞き取り技術は英国などにはあるが、日本では確立されていないという。
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細部がはっきりしなかったり揺れ動いたりする知的障害者の証言。再発防止策でも配慮が欠かせない。
社会福祉法人「全日本手をつなぐ育成会」の大久保常明常務理事は「周囲が敏感に『雰囲気がおかしい』などと入所者の変化を感知することも重要」と話す。入所する障害者から直接話を聞き施設の改善に努める茅ケ崎市のNPO法人「湘南ふくしネットワークオンブズマン」の江崎康子副理事長は「施設内の風通しをよくする必要がある」と強調。具体的には、苦情のために利用者が不利益を受けない仕組みにした上で、第三者が定期的に施設に入り「職員が怖い」といった利用者の声を直接聞く取り組みだ。
県の木村課長は「密室の中で利用者の権利を守る方法が確立されていない」と話す。県は世話人らを対象にグループホーム学会と合同で研修会を開く予定だ。【出典:毎日新聞】
施設という密室。それを作ってしまった職員たち。でも、どの施設でも起きてもおかしくはない。今後に注目したい。
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