追跡京都2009:男性介護者の孤立防げ 当事者と支援者の全国ネット発足 /京都
◇身の置き所作り目指す
妻や子を介護する「男性介護者」。在宅介護者の3割を占めるようになっているものの、女性に比べてSOSを出すのが苦手で孤立しがちな上、離職を余儀なくされて家計が破たんする例も少なくない。そんな男性介護者の「駆け込み寺」となるべく、当事者と支援者の初の全国組織「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」が8日、京都で産声を上げた。立命館大(北区)での発足会や交流会の発言などから、ネットワーク発足の意味を考える。
発足会には北海道から九州の約150人が出席。参加団体も荒川区男性介護者の会おやじの会(東京都)▽シルバーバックの会(長野県)▽認知症の人と家族の会(京都市)▽豊中市老人介護者(家族)の会(大阪府)−−など全国に及んだ。
前夜の交流会。福岡県から来た介護歴12年の男性(72)は「女性と圧倒的に違うのは、一家の大黒柱が介護生活に入ると、会社を辞めなければならない場合が多いこと。私も4回転職し、その度に給料が下がった」と語った。妻や子供ら要介護者は5人。分担して頑張ってきた兄は昨年自殺した。「現行制度は不備だらけ。その制度すら十分使いこなすには知識と経験がいる。だから、この日が来るのを待っていた。法やさまざまな制度を変えねばならない」と訴えた。
発足式のリレートークでは、京都府の男性が「認知症を発症した妻は『なぜ私が。神様助けて』と嘆いたが、何をしていいか分からなかった。先輩男性の体験を共有する場が必要」と期待。千葉県からの参加者も「家庭を顧みなかった反省もあり、妻の介護に意気込み過ぎた。自分もがんを発症し、初めて援助の必要性を素直に認めるようになった。体験を伝えたい」とネットワークにかかわっていく決意を述べた。
初の全国実態調査を昨年まとめた「男性介護研究会」代表で、同ネットの事務局長に就いた津止正敏・立命館大産業社会学部教授によると、77年には約1割だった在宅介護者に占める男性の割合は今や3割。核家族と呼ばれた世代が高齢化し、大家族の中で「介護は嫁の仕事」とされた時代は去ったという。
津止教授は「仕事さえしていれば良しとされてきた団塊世代は、家事や近所付き合いなど私的な能力が低い。しかもプライドが高く、一人で抱え込み、助けを求めることが下手で孤立感を深めやすい。男性介護者が抱える問題は、介護離職による経済的破たんだけではない」と指摘する。
一方、男性だからこそのメリットもある。「高齢社会をよくする女性の会」理事長の樋口恵子さんは発足へのメッセージで「介護しない男を人間と呼ばない」と強い言葉を投げかけ、「男性には長年にわたって築き上げた社会的スキルがある。まとまれば社会を動かせる」と励ました。そして「今は小さな介護休業制度を、男性管理職モードに作り替えれば、企業の中の介護の位置付けが変わり、働く女性もどんなに助かるか」と指摘した。
同ネットは、介護の当事者・支援者組織の交流促進と情報交換を進め、孤立解消と支え合いのシステムを全国各地に作る。また、発足に向けて募集し、152通が集まった介護体験記も出版する。
津止教授は「介護保険制度ができて10年たつが、在宅介護の負担が増す方向に動いている部分が多い。ネットはまず、在宅の孤立化を防いで男性同士が支え合う身の置き所作りを目指す。そして、男性が得意とする組織化や意見集約力、政策立案力を発揮し、女性と共に国の政策を変える力になりたい」と意気込んでいる。【出典:毎日新聞】
とにかく支え合う組織が必要。今後、全国に出来てほしいと思う
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