生活保護:受給者の都外転居が倍増 群馬火災の被害者も
東京都内の自治体から生活保護を受給しながら、都外に転居している人がこの1年間で倍増し約1000人いることが毎日新聞の自治体への調査で分かった。ほとんどが身寄りや行き場のない独り暮らしや要介護・支援の高齢者らで、関東地方を中心に、高齢者向け住宅などの施設で暮らしている。群馬県渋川市の老人施設「静養ホームたまゆら」の火災の被害者の多くもこうした人たちだった。
生活保護は居住地の自治体が費用を一部負担し、保護に責任を持つ「居住地保護」の原則があるが、運用実態とかけ離れた制度のひずみが浮き彫りとなった。背景には、高齢者の受け皿不足に悩む都市と、入居者集めに苦労する高齢者施設を抱える地方の事情などがある。都内23区26市に調査書を送り1月1日時点の回答を得た。回答が得られなかった千代田、中央、新宿、杉並の4区を除く生活保護受給者は計18万439人。このうち、993人が都外へ転居して生活しており、1年前に都が調査した516人からほぼ倍増していた。993人は、生活保護の実施要領で定める、送り出す側と受け入れる側の両自治体の福祉事務所の間で原則必要な移管手続きがされていないケース。回答がない4区分を加えると1000人を超えるとみられる。
移管手続きをしていない事例があった自治体は30で、大部分が「受け入れ先の福祉事務所と調整がつかない」を理由に挙げた。「経費の関係で受け入れてもらえない」との回答もあった。人数別では「たまゆら」に計15人を送り出していた墨田区148人▽荒川区127人▽江戸川区109人??の順。移動者数が多かったのは、荒川区→茨城55人▽足立区→埼玉43人▽江戸川区→千葉42人▽墨田区→群馬38人??など。遠方では府中市と足立区から北海道へ移った人がいた。
移管手続きをせずに転居させていることについて、平倉秀夫・都福祉保健局保護課長は「実施要領では移管するのが原則だが、保護費を支給している以上、支援に責任を持っているので認められる範囲だ」と説明している。【立上修】
◇流れ止められない
鈴木亘・学習院大経済学部准教授(社会保障)の話 生活保護者の受け入れ先がないという現状が問題の背景にある。行政は生活保護者の権利を守らなければならないが、受け入れ先を探すので精いっぱい。東京都から生活保護者が都外に流れる構図は止めようがないと思う。一定以上の高齢者が入っている施設はすべて行政がチェックする仕組みが必要だ。
◇東京都内の区と市の生活保護受給者数と都外への転居者数(判明分)
??は回答なし
<区> 受給 転居
千代田 ?? ??
中 央 ?? ??
港 1745 31
新 宿 ?? ??
文 京1738 38
台 東6753※2 0
墨 田5933 148
江 東6618 45
品 川3971 14
目 黒2310 2
大 田12232 69
世田谷6570 31※1
渋 谷2287 17
中 野4541 2
杉 並 ?? ??
豊 島5036 3
北 6023 9
荒 川4652 127
板 橋3773 0
練 馬12577 108
足 立18534 108
葛 飾9516 58
江戸川12658 109
区部計127467 919
<市>
八王子9065 5
立 川3967 1
武蔵野1656 3
三 鷹2846 4
青 梅1479 0
府 中3615 18
昭 島1559 0
調 布2148※2 30
町 田4950 2
小金井1010 0
小 平2296 0
日 野1567 2
東村山2342 0
国分寺 766 3
国 立 659 0
西東京2278 2
福 生 838 0
狛 江 851 0
東大和1333 0
清 瀬1469 1
東久留米1302 1
武蔵村山1311 0
多 摩1776 0
稲 城 834 2
羽 村 461 0
あきる野594 0
市部計52972 74
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計180439 993
※1都内分も含む
※2受給者数は08年11月現在【出典:毎日新聞】
最初は福祉施設の火災だったが、問題は根深く深刻である
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