日中おむつゼロ:達成、東京の特養「きたざわ苑」 介護の質・生きる意欲向上へ
◇東京・世田谷の特養「きたざわ苑」
介護が必要になった時、せめて自力で排せつをしたいという願いは強い。おむつが取れたことで生活への意欲を取り戻したり、定期的な自然排便が可能になるなどさまざまな相乗効果が報告されているが、人手不足などを背景に実現した施設は少ない。昨年、約4カ月間で日中、入所者全員のおむつを外す「おむつゼロ」に成功した東京都世田谷区の特別養護老人ホーム「区立きたざわ苑」を訪ねた。
◇排便補助具作製/定時に便座へ/水分・食物繊維摂取/適度な運動…きっかけは06年5月から計6回、都内で開かれた介護力向上講習会。全国老人福祉施設協議会の主催で、きたざわ苑をはじめ全国から100を超える特養職員が受講した。そこで介護の質を上げる方法の一つとして、おむつ外しが紹介された。
同苑はその後、実現に向け、自力排便を促す補助具「ふんばる君」を作製するなど準備を進め、昨年9月から「おむつゼロ運動」に取り組んだ。
歩ける人はトイレやベッド脇の簡易トイレで排便してもらい、寝たきりの場合は事前に便意を知らせてもらったり、食後など決まった時間に便座に座ることで定時排せつを習慣づけた。意思表示できない人にも簡易トイレに決まった時間に座ってもらい、排せつを促した。
生活面では、▽起床時の水や牛乳など1日1500CCの水分摂取▽下剤を使わない自然排便▽散歩など適度な運動▽規則正しい食事▽市販の食物繊維をお茶やみそ汁に入れる??などを徹底した。
この結果、昨年12月末までの約4カ月間で、入所者99人のうち、おむつを付けていた25人全員がおむつを外した。また、下剤は34人が使っていたが、現在は終末期ケアなど症状が重い5人のみ。29人が自然排便ができるようになった。
岩上広一施設長は「おむつを付けるのは、介護する側の事情という側面もある。誰でも排せつ行為を見られたり、おむつ交換をされるのはいや。外すことで入所者の自尊心も尊重できる」と話す。
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ユニ・チャームが昨年9月、40?80代の542人に行った調査では、介助が必要になった時に「自力で最低限したいこと」の1位は「排せつ」(92・1%)だった。施設でのおむつ外しに取り組む国際医療福祉大大学院の竹内孝仁教授は「日中のおむつゼロを達成した特養は、知る限り全国で4?5カ所ぐらい。排せつの自立は施設の介護力レベルの指標とも言われ、おむつ外しの機運は高まっている。だが、目の前の待ったなしの介護に追われ後手に回っているのが実情」と話している。【出典:毎日新聞】
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