不況、自殺急増の悪夢 NPO「10年前を繰り返すな」
世界の金融不安を引き起こした9月の「リーマン・ショック」以降、不況を背景にした自殺が今後、増えるのではないかという危機感が広がっている。金融危機が経済に深刻な影響を与えた97年度との類似性も指摘され、NPOを中心に未然に防ごうとする動きが強まっている。
日本銀行が、第1次オイルショック以来の景気悪化傾向を発表した15日の午後。多重債務者の相談を受けている「全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会」の東京・神田の事務所に一人の男性(43)が訪ねてきた。07年夏に人材派遣会社から山梨県の会社に派遣され、建築関係の仕事をしていたが、11月10日付で解雇を言い渡されたという。寮も追い出され、東京に出て安いホテルなどを転々としながら仕事を探したが見つからない。親兄弟とも20年以上行き来がなく、頼る身よりはなかった。所持金もなくなり、自殺しようと、富士山のふもと、青木ケ原樹海へと入ったが死にきれず、保護された警察に事務所を紹介されたという。
自殺者が多い樹海に借金の相談を呼びかける看板を設置した連絡協議会によると、看板を見た人からの電話が、リーマン・ショック以降の11月に8本かかってきた。
こういった状況に自殺防止に取り組むNPO「ライフリンク」の清水康之代表は「98年3月のころと同じような雰囲気を感じる」と話す。
「98年3月」は、山一証券、北海道拓殖銀行が経営破綻(はたん)するなど、金融不安が全国を覆った97年度の決算期。警察庁などの統計によると、この1カ月だけで、全国で3265人が自殺。前月より約千人増え、98年の自殺者は約3万3千人に達した。以降、年間の自殺者は、3万人前後で高止まっている。
来年3月に向けて、同様のことが繰り返されかねない。そんな危機感から清水さんたちは先手を打つことにした。1日から、ライフリンクは、抱える悩みの解決に合った相談窓口を見つけられる総合サイトを開設。「生活・お金の悩み」「仕事・事業の悩み」などの項目や、住んでいる地域などを選びながら、問題が相談できる行政窓口やNPO法人の連絡先にたどり着ける仕組みだ。
さらに15日には、自殺防止につながる施策を広く知らせるための研修会を東京都庁で開いた。東京都社会福祉協議会の「緊急小口資金貸付制度」などを説明。多重債務者の相談窓口など切実な人生相談を受ける現場の人たち約130人が集まった。23日にも同様の研修会を開く予定だ。
清水さんは「自殺をしなくても、助けてくれる制度はたくさんある。ただ知られていないことが多い。生きる最後の望みをかけて相談してくれた人の勇気に応えられるようにしたい」と話している。 【出典:朝日新聞】
いま、まさにこの国のあり方が問われている。なのに政治と言えば、自分たちのことばかり。いまこそ、政治から未来を見いだせる言葉がほしい
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