深層・真相:児童虐待と親の意識 主婦の4割「虐待しそうになった」 /熊本
◇周囲が温かい言葉を
11月は児童虐待防止月間。07年度に県内の児童相談所が受けた虐待の通告・相談件数は320件と過去最多だった。尚絅大短期大学部の谷口卓准教授は、熊本市内の保護者を対象にアンケートによる意識調査を実施し、3人に1人が「子どもを虐待しそうになった経験がある」ことが分かった。調査結果から見える親の意識と虐待防止のために必要なことを谷口准教授らに聞いた。
●子育てに疲れ熊本市内の保育園、幼稚園、小学校、中学校の150校を対象に1校30?50人の保護者に回答してもらった。6月末までに1894人(有効回答率35・4%)が回答し、94%は母親だった。
回答者の93%が「子育てに協力してくれる人が周囲にいる」、86%が「子育てに関する悩みを相談している」と答え、「子育てに孤独感を感じている」と答えた親は24%にとどまった。一方で60%は「子育てに疲れを感じたことがある」とも答えている。
谷口准教授は「周囲に協力者や相談者がおり、孤独感を感じることは少ないが、それでもなお、子育てには疲れを感じているという保護者像が浮かび上がる」と話す。
●実母が66%
「子どもを虐待しそうになったことがある」は33%(631人)。回答者の属性で多かったパート(641人)と専業主婦(549人)の比較では、パート33%に対し、専業主婦40%という結果だった。谷口准教授は「家で子どもと接する時間の長さが影響しているのでは」と話す。
07年度に相談のあった県内の虐待のうち、66%は実母によるものだった。児童虐待防止プログラムを、県内の学校などで実施する団体「ほっぷ・すてっぷ・CAPくまもと」のとみながとも子代表は「それだけ、母親の肩に育児の負担がかかっているということ」と話す。
●もっと啓発を
経済的な困窮、地域社会での孤立、夫婦の不和、虐待を受けた体験、望まない妊娠……。県中央児童相談所によると、虐待はこれらの悩みが複数重なったときに起きやすいという。とみながさんは「苦しんでいるから、より弱いところに暴力が向かってしまうのだろう」と話す。まずは「周囲が虐待やその兆候に、気付くことが支援のスタート」。
さらに「ケースにもよるが、追い詰められていると思われる親がいたら『よく頑張っているね』『何か手伝えることはない?』など、周囲が温かい言葉をかけてほしい。親をさらに孤立させるようなことは言ってほしくない」と加えた。
谷口准教授の調査では保護者の63%が「国や自治体の取り組みは十分でない」と回答している。谷口准教授は「数字は行政への期待の表れでもある」と話す。
とみながさんは、教育現場などを回っていると、父母が行政による子育て支援制度を知らなかったり、教職員や民生委員らが、虐待について学ぶ機会が少ないなどの課題を感じるという。「(行政は)もっと支援が市民に届くような仕組みや、現場の声を吸い上げるような工夫が必要なのでは」と指摘している。【出典:毎日新聞】
どうすれば家族を孤立させないか、支援できるのか。施策も大切だが、社会的意識も必要だと思う
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