8 月 12 2008
パーキンソン病 進まぬ社会の理解 治療・介護の充実求める声
体が思うように動かなくなる難病のパーキンソン病は、診断に時間がかかり、日常生活で患者が周囲から誤解を受けるなど、理解が進んでいないことが実態調査で分かった。発病の最大因子は「老化」といい、高齢化社会で患者はさらに増える可能性も。治療・介護態勢の充実を求める声が強まっている。
「体の震えがあるので、困るのは電車に乗ったとき。震えた手が近くの女性の体に触れてしまわないかと…。震える手には乗客の注目が集まる。『この手の震えは心の震えなんです』と説明しても、なかなか理解してもらえない」
東京都パーキンソン病友の会会長の清徳保雄さん(65)は、こう訴える。7月、順天堂大学と製薬会社の日本べーリンガーインゲルハイムが、全国パーキンソン病友の会の協力で行った患者・介護者実態調査の結果発表会に、パネリストとして出席した。「私の場合は体がだるく、足を引きずり、長く座れなくなった。営業の仕事だったが、一度に大勢との名刺交換は手が震えてできなくなった。整骨院、整形外科、内科、心療内科と受診したが、原因不明。神経内科で診断されるまで5年かかった」
同じくパネリストの同会理事、松本好司さん(66)は、こう振り返る。
パーキンソン病は、体の強(こわ)ばり▽震え▽すくみ足▽意思に関係ない体動−などの運動症状と、抑鬱(よくうつ)▽よだれ▽幻視▽においがしない▽不眠▽頻尿・便秘−など非運動症状がある。
中脳にある神経細胞が遺伝因子や外部からの衝撃などさまざまな原因で死んで少なくなり、神経伝達が不全になるもので、国内の患者は診断されただけで14万5000人に上る。作家の三浦綾子さん、米俳優のマイケル・J・フォックス氏、元ボクサーのモハメド・アリ氏らの発病が知られている。
しかし、診断に至っていない患者も少なくないとみられる。全国友の会の調査では、最初に受診した医療機関でパーキンソン病と診断された人は35%のみ。28%が2カ所目、17%が3カ所目、そして16%が4〜5カ所目でようやく診断されているからだ。
「専門医でないと、手の震えを診てアルコール依存症、足を引きずるのを診て脳梗塞(こうそく)ではないかと診断する場合が多い」と指摘するのは、実態調査結果を発表した同大医学部脳神経内科の服部信孝教授(49)。
パーキンソン病と診断されるまでに患者が受診した診療科は内科が5割、整形外科が4割に上るが、判明率は10〜3%と低い。逆に判明率が7割を超える神経内科を受診した人は4人のうち1人しかいない。
服部教授は「間違った診断で数年間もそのまま過ぎ、私のところに来て初めてパーキンソン病と分かる人が少なくない。それだけ医療現場でも理解が進んでいない」と打ち明ける。
今回の実態調査では、体の強ばり、震え、すくみ足など代表的運動症状が治療薬の内服でかなり改善し、抑鬱症状にもある程度効果があることが分かった。とはいえ、統計では発病は50歳以上で増え始め、60歳を超すと急激に増える。
「高齢化で患者は今後さらに増える可能性がある。パーキンソン病は薬で症状が改善しても、完治することはない。80歳まで生きるとすれば、20年も薬を飲み続けることになる」
実態調査では、家族など介護する側の不安は「患者の病状が今後どうなるかわからないこと」、患者側も「介護者に将来の不安を感じさせていること」がともに最多。さらに、介護側で「患者の体重を支えること」「トイレの手伝いで夜中に起こされる」、患者側で「精神的、肉体的苦しみを分かってもらえない」などの声も多い。
服部教授は「患者や介護者の不安、不満を一つ一つ改善し、介護・治療態勢を整えることが必要」と話している。【出典:産経新聞】
介護者としても、まだ知識不足で受け入れが難しい施設が多くある。なんとか早急に実践を深めていかないといけない
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