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6 月 17 2008

介護ビジネス:「コムスン」から1年/中 競争、規制…遠い「安心」

Published by webmaster at 21:08:09 under NEWS Selection

「終(つい)のすみかと信じて財産を預けたのに」。シャンデリアが飾られた玄関脇のホールで、集まった入居者はいくら説明を聞いても不安をぬぐえなかった。
 5月末、東京都世田谷区の「バーリントンハウス馬事公苑」で、業者による説明会が開かれた。折口雅博グッドウィル・グループ(GWG)前会長が「介護ビジネスの集大成」とうたった超高級有料老人ホーム。承継した不動産コンサルティング会社「ゼクス」(東京都)はホームの購入を延期し続け、入居者と契約も結ばない。しかもこの日、建物約800カ所に図面と整合しない部分があることも告げられた。

 入居者64人の2割が要介護・要支援。認知症が進んだ人もいる。職員の退職が相次ぎ、夜間の体制も心もとない。最高3億円の入居一時金を払ったのに、業者が倒産した際などに取り戻せるのは法の規定では500万円まで。ある入居者は「耐震性に問題があれば、ゼクスも手を引くかもしれない。GWGを訴えてもお金は戻らないのでは」と戸惑う。
 「企業の論理」に余生を委ねた高齢社会の足元は脆弱(ぜいじゃく)だ。介護業界ではM&A(合併・買収)が活発化し、経営者の交代でサービスが低下する例も珍しくない。コンサルティング会社「あいけあ」の土屋有社長は「もうかると思って参入したものの、入居者を集められず厳しい運営を迫られているホームも多い」と業界事情を語る。
     ◇
 介護付き有料老人ホームは訪問介護に比べ収益性が高いが、保険給付を抑えるために総量規制をかけ、新たな施設を認めない自治体もある。一方で、家族を頼れない人の入所介護へのニーズは高まる。そこで規制対象外の住宅型ホームなどが増えている。介護が必要な人は外部の訪問介護サービスなどを受けるものだが、実態は玉石混交だ。
 「最初はどこかの家族が引っ越してきたと思ったんです」。九十九里浜に近い千葉県大網白里町で、畑の間に建つ民家を見やり、農作業中の男性が言った。1年前に県内の業者が借り上げ、近隣住民は徘徊(はいかい)する高齢者や頻繁に来る救急車を見て「いつか事故が起きるのでは」と不安を募らせた。
 月額利用料は約10万円。11・5畳の一室で4人が暮らし、仕切りもなく簡易式トイレが置かれていた。実態は住宅型ホームだが、県には無届け。そこにヘルパーを派遣していた系列の事業所で介護報酬約4000万円の不正請求が発覚し、県は今年1月指定を取り消し、計4カ所のホームも閉鎖された。
 入居者36人の半数は生活保護受給者。3分の2は東京都民で、病院を退院する際に紹介された人も多い。女性経営者は「制度の勉強不足だった。でも、待機者の多い特養ホームにも、一時金が高い有料ホームにも入れない高齢者の受け皿が必要ではないのか」と話す。閉鎖後、自宅に戻れた人はいないという。
 規制と競争のはざまで、「安心できる介護」は遠いものになっている。【出典:毎日新聞】

企業の論理だけが優先され、いつも利用者が影響を受ける

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