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6 月 17 2008

介護ビジネス:「コムスン」から1年/上 給付抑制、止まらぬ「退場」

Published by webmaster at 21:01:56 under NEWS Selection

がらんとした事務所の窓に「テナント募集」の紙が何枚も張られている。近くの同業者が言う。「利用者数は減っていないはずだが、従業員が何人も辞めたからなあ」
 今春まで佐賀市郊外の住宅地にあった介護事業所「セントケア鍋島」。元々コムスンの事業所だった。セントケア・ホールディング(東京都)が昨年11月に引き継ぎ、わずか4カ月で他の事業所と統廃合された。

 セ社はコムスンの157事業所を承継したが、4月末までに計7事業所を廃止した。3月期決算は3億9000万円の経常赤字で、前社長は引責辞任。幹部は「続けるほど赤字になる所は閉めるしかない」と漏らす。
 同じく事業所を承継したニチイ学館(東京都)、ジャパンケアサービス(同)の主要2社もそれぞれ減益、赤字。流出した人材を補えないことが何よりも大きい。働き手がなければ利用者を増やせず、人員基準を満たせなくなった所もある。
 労働組合「日本介護クラフトユニオン」にはコムスンの2万3000人が加盟していたが、この1年で5000人が去った。陶山浩三(すやまこうぞう)事務局長は「コムスン問題は介護職の雇用の厳しさに光を当てたが、現状は悪くなるばかりだ」と行方を懸念する。
    ◇
 社会保障費削減を進める政府は増加する介護保険給付費を「適正化」として抑制し、不正請求をしながら行政処分逃れを図ったコムスンを退場させた。その後も自治体は指導・監査を強める。「作る書類が多すぎて仕事にならない」「厳格にやっていたら給与を払えない」。業者からは恨み節も聞こえる。
 国は「保険あって介護なし」を恐れ、民間参入に積極的だった。甘い指導に慣れた業者に厳罰化は唐突と映り、それが給付費抑制の手段であることが不信感を生む。
 岡山県では処分が訴訟に発展した。今年1月、県は申請時に看護職定数を満たしていなかった業者に連座制を適用。計5事業所を指定取り消しなどの対象とした。業者側は「取り消しを受けるような悪質性はない」と全面的に争う。
 コムスン撤退の余波の大きさから、国は5月に介護保険法を改正し、連座制の適用範囲を一転して狭めた。その結果、岡山の業者は有料老人ホーム2カ所が存続できるちぐはぐな結果に。適正化によるきしみは増幅されるばかりだ。
    ◇
 業者と行政のせめぎ合いの影響は利用者に及ぶ。業者が「過剰なサービス」と指摘され報酬返還を求められることを恐れ、必要な介護まで自主規制する例が相次ぐ。
 「なぜ介護が減るんですか」。今春、東京都内の男性(90)=要支援2=はケアマネジャーに食い下がった。月4200円の負担で週3回ヘルパー派遣を受けてきたが、突然打ち切るという。「敷地内に息子が住んでいる」との理由だが、息子は朝9時に出勤し、帰るのは午前1時だ。
 男性はヘルパーを全額自費で呼び、負担は5倍に膨らんだ。「保険料を払っているのに、必要なサービスを使えない。そんな保険なら、脱退させてくれ」
   ×   ×
 人材難、安価な報酬。コムスン問題は介護保険制度が抱える課題をあらわにした。あれから1年、何が変わったのか。「コムスン後」を追った。【出典:毎日新聞】

国は何も考えていない。介護の社会化は、いったいどうなるのだろう

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