5 月 20 2008
はざまの中で:障害児施設の現場から/4 巣立ち、未収金回収は困難
今年3月初め、幸広さん(20)=仮名=が八幡(やわた)学園(千葉県市川市)を巣立った。6歳で入所したが、13年間、ほとんど千葉県の自宅に帰ったことがない。北海道の知的障害者施設へと旅立つこの日も、両親の姿はなかった。
重い知的障害で言葉による意思疎通は難しい。それでも面倒見がよく、学園では年下の子の洗濯物を運んだり、布団干しの手伝いを買って出ていた。
06年10月、幸広さんに契約制度が適用された。ほどなくして利用料など月約4万円の支払いが滞り出した。学園職員が自宅を訪ね、「分割でも構わないので」と父親を説得したが、「金がない」と突っぱねられた。部屋には、大画面の新型液晶テレビがあった。
「本人が卒園したため、父親からの回収がさらに難しくなった」(学園)幸広さんの滞納額は約20万円。保護者の負担が増え、こうした学園の未収金は130万円を超える。毎日新聞の調べでは、全国の知的障害児施設の未収金は総額約5700万円に達する。しかし、厚生労働省は「保護者からの徴収は施設の責任」として、制度の見直しに消極的だ。
「契約制度が始まってから、保護者にお金の話ばかりしている。子どもの成長について話をしたいのに……」。職員の一人は嘆く。滞納がない親でも、契約締結を境に「兄弟に受験生がいる」「遠出をする」などと、面会や帰宅を渋る傾向が出始めているという。
滞納の督促を嫌い学園から足が遠のく親。負担はするが、子どもの養育を学園任せにする親。「施設は養育放棄の手伝いをしているのではないか」。久保寺玲(あきら)園長は自問する。
3月23日、晴れ渡った日曜日。学園で07年度の修了式があった。「掃除が上手になりました」「自分でトイレに行けるようになりました」。久保寺園長は一人一人をたたえ、修了証を手渡した。1年の成長を披露する晴れ舞台。しかし、68人の入所児で、家族が来たのは半数に満たなかった。=つづく【出典:毎日新聞】
なんだかやりきれないというか、切ない
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