5 月 20 2008
はざまの中で:障害児施設の現場から/2 「契約ありき」のしわ寄せ
契約、契約、契約、契約……。
障害者自立支援法の本格施行が迫る06年7月、八幡(やわた)学園(千葉県市川市)に、東京都福祉保健局から書類が届いた。都が担当する児童に、措置と契約のどちらを適用するかを通知する一覧表が入っていた。当時、学園にいた都の児童は52人。表には47人目まで、延々と「契約」の2文字が記されていた。健一君(10)=仮名=もその一人だった。
知的障害は最重度。にぎやかな園内で一人静かに座り、はしゃぎ回る子どもたちをじっと目で追う。
生後5カ月で乳児院に預けられ、6年前の春、学園に来た。母親の行方は分からず、戸籍上の父親も「恐らく実父ではない」(学園職員)。その父親は生活保護を受給し、住所も転々。息子にも数回会いに来ただけだ。
「父親は養育の意思や能力を欠いている」。学園は健一君が契約扱いになっていることに驚き、措置への変更を求めて都に意見書を出した。だが、答えは「ノー」。「父親が『息子を養育しなくて済むなら契約する』と言ったので、同意と判断した」。担当の児童福祉司はそう説明した。学園側は「契約の意味をきちんと説明したのか」といぶかった。
06年9月、電話越しの児童福祉司の言葉に、学園の職員は耳を疑った。「何にお金がかかるんですか」。契約になれば、父親にも当然、息子の施設利用料など原則1割の自己負担が生じる。制度の施行前で、児童福祉司は、生活保護世帯にも負担が課されることを知らなかったという。
学園が児童福祉司の認識不足を指摘し、改めて都に意見書を上げた結果、健一君はようやく措置になった。学園側は「障害児は『契約ありき』が実態」と指摘。一方、都は「親の不在、虐待、精神疾患という国の措置要件に沿い、適正に判断した結果」と強調する。
子どもの世界にも契約という自己責任を持ち込んだ自立支援法。そのしわ寄せは障害児が背負う。=つづく【出典:毎日新聞】
名ばかりの自立支援制度。なぜ、こんな制度が。。。
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