妊婦健診の助成、九州・沖縄立ち遅れ 最低ライン届かず
妊婦健診への公費助成の回数について、九州・沖縄・山口の全312市町村を対象に朝日新聞社が調べたところ、平均は4.83回分で厚生労働省が「最低限必要」とした5回に届いていないことがわかった。少子化対策に加え、1回も健診を受けない妊婦の「飛び込み出産」を減らすため、厚労省は助成を促しているが、多くの自治体が対応できていない実態が浮かび上がった。
312市町村のうち、助成回数が最少の2回は福岡県大牟田市、中間市、大野城市など7市町で、1割以上の32市町が4回以下だった。5回助成する273自治体のうち福岡市や北九州市など243自治体は、4月から「最低ライン」に増やしたばかりだ。助成額は福岡県内の場合、1回目が6千〜1万円、2回目以降は6千円の自治体が多い。
97年度までは国と都道府県が妊婦健診だけに使える補助金を出していたため、どの自治体も最低2回は助成していた。少子化対策に絡む07年度の交付税が前年度より増えたのを理由に、厚労省は昨年から「妊婦健診への助成もおおむね5回以上はできるはず」と自治体に求め始めた。
しかし、交付税は厳密な使い道を定めておらず、総額が目減りした自治体に「増えた」という実感はないようだ。助成が2回にとどまった大牟田市の担当者は「妊婦健診に特化した交付税ではないし、他の事業との兼ね合いをみないと」。宮崎県小林市は「今の財政ではこれが限度」と3回にした。
一方、6回以上の助成は7市町で、山口県周防大島町の10回が最高だった。米軍岩国基地への空母艦載機移転を受け入れ、10年間で総額16億円の再編交付金が入るため、「基地の代償」を子育て支援にあてることにしたという。この後は8回の山口県阿武町、7回の宮崎県椎葉村、鹿児島県長島町、霧島市、志布志市、6回の山口県萩市が続く。同県光市は5回だが、第3子以降は厚労省が「望ましい」とする14回分を助成する。
東京23区のうち18区は健診14回分の補助券を支給。出生率が全国最低の秋田県では、全25市町村が7回以上助成しており、先進的な自治体が目立つ。
九州厚生年金病院(北九州市)の中原博正医師は、妊婦の足を病院へ向けてもらうために助成の回数を増やすことが重要だとみる。ただ、厚労省が最低ラインを5回としていることには「医学的に根拠はなく、5回しか受診しない人が出てきかねない」と指摘。「理想は全回助成だ」と制度の拡充を求めている。◇
〈妊婦健診〉 母体や胎児の健康状態を確認するため、病院などで受ける。内容は問診や体重測定、血液検査など。妊娠23週までは4週に1回、35週までは2週に1回、36週以降は週1回の計14回程度の受診が望ましいとされる。1回約5千円〜1万数千円かかるが、原則として医療保険は適用されない。厚生労働省は昨年1月、市町村に税金による助成は「14回程度が望ましい」と通達。最低限の基準として「5回程度の(助成)実施が原則」と求めた。 【出典:朝日新聞】
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