5 月 13 2008
<置き去り児>戸籍が支え「どんな子にも作成を」…男性語る
置き去りにされた赤ちゃんは、自治体が名前や本籍などを定めたうえで戸籍が作られている。普通の戸籍と違い、父母の欄の記載はない。47年前、東京都内の病院に置き去りにされた男性が毎日新聞の取材に応じ、心情を語った。離婚後300日規定などで戸籍のない子供が全国に200人以上いる現状について、男性は「どんな生い立ちでも子に罪はない」と無戸籍の解消を訴えている。
八王子市内に住む会社員の男性(46)で、61年8月9日、世田谷区の産婦人科医院の待合室で母親に置き去りにされた。生後1週間と推定され、1870グラムの未熟児だった。
世田谷区が戸籍を作ったのは翌日。名前もその時決められた。小学生の時は里親の元で過ごしたが、同級生らからいじめられた。ゲーム店などに入り浸り、家の金を盗んだりもしたという。
中学校は施設から通った。自分の戸籍を初めて見たのは、高校入学前だ。実親が誰か分からないことは知っていたが、親の欄に記載のない戸籍を見て「やっぱり捨てられたんだ」と思った。
高校を卒業して働き、22歳で職場の同僚と結婚。その直前、初めて自分が保護された医院を訪ねた。母親がどんな人だったかを知りたかったからだ。保護書類を作った医師は「よく22年間、懸命に生きてきたね」と言ってくれたが、結局母親の手がかりは得られなかった。
結婚して新たにできた戸籍は、男性にとって初めて自分の名前以外の名前(妻)が記載された。本籍地はこれを機に「病院の所在地」から「住所地」に替えた。
厚生労働省の調査では07年6月現在、300日規定による無戸籍児は全国に227人。進学、就職、運転免許や旅券の取得、選挙の投票、結婚などの手続きでは、戸籍や住民票がなければ、スムーズにいかない場合も多い。
男性は「法律で多くの人が苦しんだり、親の事情で子供が当然の権利を受けられないのはおかしい。国会や行政は早急に改善すべきだ」と話した。【ことば】◇置き去り児
戸籍法は、置き去り児の発見者か届けを受けた警察官が、24時間以内に市町村長に届けることを義務付け、市町村長は子供の名前や本籍、推定の生年月日などを定め戸籍を記載すると規定している。毎日新聞の県庁所在市と政令市(全区)、東京23区対象(「赤ちゃんポスト」のある熊本市を除く)の調査では、05〜07年度に戸籍が作成された置き去り児は少なくとも34人いた。【出典:毎日新聞】
子どもは社会で育てる、社会の宝という思想は、薄れてきたのだろうか
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