4 月 10 2008
障害者工賃:「ビジネス」導入で賃上げ 一関の施設、品質にこだわり /岩手
◇昼休みも作業も交代で
長く黙認されてきた福祉分野の低賃金問題に、ビジネス手法で挑んでいる事業所がある。一関市大東町の山中にある「室蓬(しっぽう)館」。県内の授産施設や作業所で働く障害者の平均工賃は月1万3848円(06年度)だが、同事業所は今月から3500円アップさせて1万9200円にした。県内では珍しい試みで、県も「成功事例として増えれば」と注目している。
室蓬館は精神・知的・身体障害者の自立を促す福祉事業所で、05年度から自家焙煎(ばいせん)コーヒー豆とパンの販売をする「けやきベーカリー」を始めた。07年度の年間売上高は前年度比300万円増の3200万円を見込む。
金野育朗施設長(43)は「福祉はお金より優しさと言われてきたが、月1万円では誰も生活できない。映画を見たりおしゃれをすることも必要でしょう」と話す。同事業所では工賃を12年度までに3万6000円にし、障害者年金(6万6000円)と合わせて10万円超にするのが目標だ。
経営を意識したのは今年1月。07年度から県が実施している「工賃倍増5カ年計画」のモデル事業で、派遣された経営コンサルタントから「営業活動など企業として当然のことができていない」と指摘されたのだ。それ以降、包装は無色透明のビニール袋からデザイン付きに変え、店舗に試食用のパンとコーヒーを用意。冷凍生地は使わず、その日焼いたパンだけを販売するなど品質にもこだわった。
作業員の生活も変化した。これまで全員同時に取っていた昼休みは交代制に。安定供給が基本なので、誰が休んでもカバーできるよう担当を交代して全工程をこなす訓練をした。金野施設長は「ストレスはかかるが、作業員も慣れてきた。優しく接するだけでは自立を支援できない」と語る。
ただ、悩みも絶えない。原油高による原材料の小麦価格の値上げだ。商品価格に転嫁する代わりに、品質も上げようと決めた。今は扱いが難しいとされる天然酵母を使ったパンの試作に明け暮れる。「『できない』理由を探すのではなく、どうすればできるかを考えるようになった」と金野施設長。工賃アップに向けた室蓬館の奮闘は続く。【出典:毎日新聞】
自立法以降、全国の作業時は、この流れになってきている。専門のコンサルタントの指導を受けている施設もある。ただ、福祉的就労の意味は残してほしい
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