4 月 07 2008
知的障害者の再犯防げ、刑務所と福祉の「橋渡し」役育成へ
刑務所を出所した知的障害者の円滑な社会復帰を目指し、全国に先駆け、知的障害者を受け入れてきた社会福祉法人「南高愛隣会(なんこうあいりんかい)」(長崎県)が、厚生労働省や法務省の支援を受け、刑務所と福祉施設の橋渡しをするスタッフの育成に乗り出した。
知的障害のある受刑者については、身元引受先がないまま出所して再犯に及ぶケースも多く、「矯正」と「福祉」の連携に期待が高まっている。
「これまで、行き先が決まらない出所者に刑務所ができるのは、最寄りの駅に送ることまででした」
先月中旬、南高愛隣会が千葉市で開いた研修会。講師の法務省職員の話に、福祉施設や障害者就労支援センターなどで働く人たちが熱心に聞き入った。隣の部屋では、厚労省や社会福祉法人から来た講師が、刑務所職員らに障害者福祉の実情を説明した。東京の杉並区障害者雇用支援事業団から参加した木内妙子さん(49)は、「行き場がなく、短い期間で再犯を繰り返す人たちがいることを初めて知った」と話した。
同会は昨年、知的障害者の出所者の受け入れを試行的に開始したが、服役中から受刑者に接触して支援計画を立て、出所後の受け入れ先も探す専門家の必要性を痛感したという。このため、今回まず、全国各地の刑務所や福祉施設で働く人たちに互いの仕事を理解してもらう研修を実施。今後も同様の研修を重ね、受講生の中から橋渡しの専門家を育てていく方針だ。
法務省が2006年10月時点で全国15の大規模刑務所に再犯で入所していた知的障害者285人を調べたところ、前回出所した際に社会福祉施設へ移った人は1%だけで、44%は刑務所側が出所後の行き先を把握できていなかった。さらに全体の60%は出所後1年未満の犯罪で刑務所に戻っていた。刑務所には出所後の引受先の調整担当がいるが、現役のある刑務官は「障害者にどんな支援が必要なのかの知識がなかった」と明かす。東京で社会福祉施設を運営する阿部美樹雄さんは「少年院からは引受先についてよく相談されるが、刑務所からは相談を受けたことがない」と話す。
元横浜刑務所首席矯正処遇官の浜井浩一・龍谷大教授は、「刑務所と福祉施設が連携しなければ障害者の再犯防止はありえない。地域社会の協力も必要」と指摘している。◆「出所後」ケア
南高愛隣会が受け入れた知的障害者の50代の女性は、親族から引き受けを拒否され、前回の出所後はホームレス生活を送っていた。
窃盗などを繰り返して4回服役したが、同会の担当者が刑務所内で面接し、福祉サービスを受けるのに必要な療育手帳の取得を支援。現在は同会のグループホームで暮らす。この女性は「出所しても行く所も食べるものもなかったから、弁当を盗んだ」と振り返った。
同会の支援を受けて出所した20代の女性も、グループホームで生活しながら、ヘルパーの資格取得を目指し講習に通う。「早く仕事につけるようになりたい」と話している。【出典:読売新聞】
福祉の中にあっても、これまで置き去りにしてきた触法障害者への対応。全国に、もっとこのような施設が増えてほしい
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