11 月 20 2007
被虐待児の入所急増 明石の情緒障害児治療施設
対人関係などで心に傷を負った子どもをケアする情緒障害児短期治療施設「県立清水が丘学園」(明石市魚住町)で、虐待を受けた子どもの受け入れが増えている。かつては主に不登校の子どもらの受け皿になってきたが、家庭に問題を抱えるケースが急増。最近は、定員いっぱいの状態が続いている。同園は、精神科医や心理治療士などスタッフが充実していることもあり、子どもを守る「最後の砦(とりで)」になっている。
子どもらの生活の場となる生活棟は鉄筋コンクリート平屋建て。内部には七畳ほどの和室が並ぶ。どの部屋も教科書、マンガ雑誌、ランドセルやかばんが無造作に置かれている。ここで寝起きし、敷地内にある小中学校の分教室に通う。
小学生は三人一室、中学生は二人一室で、生活棟で暮らす入所定員は三十五人、通所定員は十五人。本年度は、五月で定員いっぱいになった。
現在、入所者の八割が家庭で虐待を受けた経験を持ち、その割合は一九九五年の27%から三倍以上に増えた。ほぼ全員が県内の子ども家庭センターを経て同園に入所する。王子正園長は「虐待による心のダメージが大きく、児童養護施設での集団生活が難しいと判断される子どもが急増している」という。
同園には常勤の精神科医がおり、心理治療士や生活支援員も手厚く配置されている。「ここが、傷ついた子どもを守る『最後の砦』にならなければ」。王子園長は言葉に力を込める。
この十年間、職員は模索を続けてきた。入所者に占める被虐待児の割合が初めて五割を超え、発達障害児も三割に上った約四年前には、荒れる子どもが急増。一時は正常な運営ができない“施設崩壊”状態になった。
ケンカやいじめ、物を壊す、無断外出…。子どもらの行動に対応しきれず、定員を下回った状態でも子ども家庭センターからの入所要請を断ることもあったという。心理治療士で同園治療課の塩見守課長は「家族から暴力を受けた被虐待児自身も、思いを暴力で訴えてしまう傾向がある。それまでとは対応を変えなければならなかったのに、私たちも気づくのが遅れた」と振り返る。
同園では「規則正しい生活を送る」などのルールを明文化し、トラブルを起こした子どもが職員とともに取り組む「振り返りプログラム」や、クラブ活動に力を入れるなどの工夫を積み重ね、ようやく落ち着きを取り戻した。今は、定員ぎりぎりまで子どもを受け入れられるようになった。
それでも、県内で入所を待つ子どもは後を絶たず、鳥取や香川など、近県の施設に送られるケースもあるという。王子園長は「虐待を受けた子どもらは、家族も含めてケアする必要がある。職員が家庭訪問しやすい県内の施設で暮らすのがベストだが、現在の設備やスタッフでは限界」と、苦しい胸の内を明かした。情緒障害児短期治療施設 対人関係のトラブルなどが原因で、精神的に不安定になった児童・生徒らが短期間、入所か通所し、集団生活の中で心のバランスを取り戻すことを目的にした施設。厚生労働省は二〇〇九年度までに、全都道府県での設置を目指している。〇七年十一月現在、全国に公立、民間合わせて三十一カ所あり、都道府県別で最も多い大阪府内には五カ所ある。兵庫県では県立清水が丘学園のみ。【出典:神戸新聞】
守られる子どもたちは増えているのに、予算は減らされる一方。もっと手厚い予算を
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