11 月 09 2007
コムスン介護事業が移行 「ヘルパー確保」難題
コムスンの大部分の介護事業が1日移行されたが、職員の退職による人手不足が深刻だ。閉鎖された事業所は全国で数十カ所に上り、譲渡の認可が間際になったところもある。24時間介護といった人手がかかるサービスの継続にも影響が出ている。厚生労働省による処分から半年近くたつが、利用者の不安は消えないままだ。
●制服一新、サービス同じ
「ご飯、おいしいですか?」。ニチイ学館がコムスンから事業を受け継いだ長野県。1日夕、小児まひの障害で車いすの男性(54)に、ヘルパーが自宅で食事の介助をした。メニューはネギトロ丼と、おすまし、サラダ。好物のビールもある。
食事の後はヘルパーが郵便物を開封し、手紙や電話料金の領収書を一つ一つ男性に見せる。すべて、これまでと同じ流れだ。違うのは制服がピンク色から変わったことだけ。5カ月前から男性を担当する女性ヘルパーは「黄緑色のシャツでまたデビューです」。
男性は1日6回、計6時間半のサービスを受けてきた。一日の最初のサービスは、朝7時の起床や排泄(はいせつ)、朝食介助。その後は夜にかけて食事、着替え、洗面、歯磨き。夜11時半から水分補給、排泄、就寝介助を30分。
早朝や深夜のサービスをしていた他の事業者は「人手が足りず開店休業状態」で、コムスンだけが頼りだったという。同居する80代の認知症の母も、訪問入浴などを週9時間受ける。
「一番こわいのは、ヘルパーが辞めること。早朝と深夜のサービスが続けられるよう、24時間介護とヘルパーの労働条件は維持してほしい」と男性は、ニチイ学館への期待を話す。
男性宅に1年以上通う30歳代の男性ヘルパーは「給与が維持されるか不安。利用者もヘルパーも不安だらけの船出です」と話した。
●退職急増、事業所閉鎖も
コムスンのヘルパーが、先行き不安もあって大量退職。厳しいスタートを余儀なくされたところもある。
13都道県325事業所を引き継いだジャパンケアサービス(東京都豊島区)は10月末、北海道と神奈川県の5事業所を職員不足で閉鎖した。利用者は同業他社に移った。神奈川県では6、7月に約150人が退職し、同社は「これほど多くの職員が辞めるケースがあるとは思わなかった」。
同県大和市では、約80人の利用者がいた2事業所を閉じた。市の担当者は「今後の利用者増に対応できるか不安。早急に再開して欲しい」と話すが、めどは立たない。
鳥取県を継いだハピネライフケア(米子市)。事業所の中核となる管理者やサービス提供責任者が、訪問介護の4事業所中3カ所で職場を去った。ヘルパー数は約40人に半減。確保できたヘルパーでサービス可能な規模に縮小し、事業譲渡認可がそろったのは31日深夜だった。
担当者は「コムスンと同じサービスを提供するのは、人材も一緒に確保できての話。常軌を逸したような辞め方は想定しなかった」と困惑する。
コムスンによると、全国1000カ所以上の事業所のうち十数カ所で、24時間介護といった人手がかかるサービスの継続ができなくなった。閉鎖も数十カ所あったという。
●自治体の審査、従来より厳格
自治体は指導・監督を強めている。東京都は10月下旬、移行先の全事業所の管理者を集め、ヘルパーらとの雇用契約や記録の保存徹底を求めた。
ジャパンケアサービスによると、移行に伴う指定申請の審査では、複数の自治体で従来以上に厳しいチェックを受けた。これまで書類でしかみなかった職員数などを点検するため、県職員らが事業所を訪れ、ヘルパーらに会ったという。
12月に移行予定の兵庫県では、通常は必要ない雇用証明書の提出を求めている。「ヘルパーの雇用確保が、サービスの質に直結する」と担当者。京都府では、利用者アンケートなども含む「第三者評価制度」を、指導の際に重視する。
ただ、自治体がすべての事業所をチェックするのは無理。コムスンも1日、移行先の態勢を見守る第三者機関をつくったが、具体的な活動内容は未定という。【出典:朝日新聞】
問題は、なにも解決されていない
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