11 月 27 2002
ぼく? こっちにおいで
「ぼく? 一人で遊んでいるの?」
「いっぱいおやつがあるから、こっちにおいで。お話ししながら、一緒に食べよ?」
「砂場の男の子を呼びに行こうか? ねっ、行こう。競争だぞ。よーい、ドン!」
ある春の日、柔らかい日差しの公園
大きな影のあとを、決して離れないよう一生懸命に小さな影が追う
ベンチに座っていた小さな女の子とお母さんは、公園の隅の砂場で、一人遊んでいる男の子へ駆け寄っていった
男の子は、ただ頑なまでに、黙々と砂をいじっている
「さぁ、おいで。一緒におやつを食べよ」
小さな女の子のお母さんは、優しい笑顔とともに、土だらけの男の子の小さな手を、そっと両手で包み込む
こころで、こころが溶けていく
こころが、こころで癒されていく
包まれた両手を、じっと見つめていた男の子は、やがて、うつむきながらも小さく頷くと、もじもじとゆっくり立ち上がった
小さな女の子、男の子、お母さんの三人は、しっかりと手を繋いで、ベンチに戻ってきた
幼い頃の私自身が、男の子と重なり合う
「こっちにおいで。一緒に遊ぼう。一人きりで、こころの世界で遊ばなくてもいいよ」
初めて、人の中へと包みしき人
生きる勇気、生きる優しさを与えしき人
いつしか、私のこころが温かくなっていた
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