10 月 22 1998
メッキ細工の「ゆたかさ」 その2
何だかやり切れない。
どうしようもなく哀しい。
怒りさえもある。
でも、どこに向けていいのか、誰に言えばいいのか、まったく解らない。
情けないことだけれど。。。
今日、ある一人のお年寄りが、静かに息を引き取った。
家族にも、知り合いの人たちにも、そして、地域の人たちにも誰一人、看取られずに。。。
老衰ということだった。
そして、このことがラジオの昼のニュースで流れた。
きっと、明日の各紙朝刊にも掲載されると思う。
また、こんな一文も付け加えられるだろう。
「重たいハンディキャップを持つ子どもの将来を悲観して、自らの子どもの生命を絶ち、 執行猶予判決を受けた、90歳を越えるという母親」
この事件が起きたとき、母親の減刑嘆願署名の運動が、早くから行われた。
この運動の中心になったのは、この母親と同じように、 重たいハンディキャップを持つ子どもがいる母親と父親だった。
「もしかしたら、私が刑に服していたかもしれない」
「生きている限り、自分たちでハンディキャップを持っている子どもたちのことを守らなければ、 社会も、誰も守ってはくれない」
「守ってくれないんであれば、いっそ自分たちの手で解決を。。。」
「だから、痛いほど気持ちがよくわかる」
実際に刑に服してしまった母親に対して、近い将来の自分自身の姿を見たのだろう。
それも、現実性の高い姿を。。。
だからこそ、この母親を支えずにはいられなかったと思う。
苦しみも、哀しみも、何もかもすべてが終わった。
何もかも終わったから、これで静かになれる。
静かに眠ることができる。
この母親は、「自由」になったのかもしれない。
だとしたら、これで良かったのではないかと思う。
本当に、そう思える。
この母親は、天命を成就して「自由」となった。
でも、この母親にとって、本当に良かったのだろうか?
本当に「自由」となったのだろうか?
何も解らない他人が、とやかく言うことではない。
それは、よく解っている。
でも。。。
でも。。。
何だかやり切れない。
哀しく思うし、怒りさえある。
でも、どこに向けていいのか、誰に言えばいいのかも、まったく解らない。
情けないことだけれど。。。
最期に。。。
本当に最期に。
どうか安らかに。
息子さんと一緒に。。。
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