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7 月 12 1998

メッキ細工の「ゆたかさ」

Published by webmaster at 13:36:17 under ことばの杜

月、ある裁判の判決があった。

90歳を越えるという母親が、重たいハンディキャップを持つ子どもの将来を悲観して、自らの子どもの生命を絶ってしまったのだ。

「心情的に理解できるが、母親であっても子どもの命を奪うことは許されない」

母親は、実刑となった。

その日、各マスコミは、一斉にこのニュースを扱っていた。

しかし、どこかが違う。

焦点を、別のところへ当てているように思えてならない。

それは、90歳を超える高齢者が刑務所に収監されるのが珍しいという内容だった。

何故、母親自らが、自分の子どもを殺さなければならなかったのかという根本の原因は、またぼやかされてしまった。

そして、もう過去の事件として忘れ去られてしまう。

いま、このお母さんは、何を想って暮らしているだろう。

母親として、誰にも背負うことが出来ない重い荷物を、やっと降ろすことが出来て、ホッとしているんだろうか。

それとも、新たな重荷を背負って、堪え難いほどの懺悔の日々を送っているんだろうか。

私には、解らない。

軽々しく解ったなどといえば、私もまた、このお母さんを言葉で殺してしまうことになる。

だから、このお母さんの想いを、そっと、こころの中に留めておきたいと思う。

忘れずに。。。

そして。。。

とても無理なことを御願いしてしまいますが、母親としての余生を送ることは、 一区切りにして、一人のおばあさんとして、日々の暮らしを送ってほしいと思います。

もう、一人で苦しむことは、十分すぎていますから。。。

「福祉」。

この言葉は、いつから「名誉・権力」を得るための、その場限りのものになったのだろうか。

いつから、「儲かる」と同じ意味合いになったのだろうか。
いつから、「適当に、ほどほどに」という。。。

本当に、いつからなのだろう。

メッキ細工の「ゆたかさ」。

メッキがはがれれば、だれかの生命が失われる。

今度もまた、いつもと同じようにメッキを張り替えるだけに終わるのだろう。

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